筆墨硯紙

道具の選び方・使い方 (入門編)

 結論から言うと筆・半紙・墨・硯は少し高価なものを使用するのが良いと考えられますが、初めに高価な道具を用意しても上手く書けるとは限りません。書き手によって好みや相性があり、書き易いと思う筆や半紙があると同時に書きにくいと思うものもあります。書道を始めて少しずつ自分に合った道具を探して下さい。

 年に数回、百貨店や書道用品店等で道具の販売会が行われています。その際には専門家の方が来られていますので、疑問に思うことがあれば尋ねてはいかがでしょうか。きっと参考になると思います。

 初めて道具を用意される方は下記のことを参考にして下さい。※学童用の道具は避けて下さい。分からない方は見学時、入会後に先生や先輩方にお尋ね下さい。

 筆には毛の硬さによって剛毫筆(ごうごう)、柔毫筆(じゅうごう)、兼毫筆(けんごう)に分けられます。剛毫筆は硬い筆で、馬、狸、イタチなどの毛で作られているのに対し、柔毫筆は柔らかい羊などで作られています。最後の兼毫筆とは、剛毛と柔毛を混ぜ合わせて作られたものです。初心者には兼毫筆が良いと思います。

 また、鋒の長さによって長鋒、中鋒、短鋒があります。一般的には中間の中鋒筆になります。

 筆の価格は1.000円位~10.000円超のものが書道用具店で売られていて種類もさまざまです。筆を選ぶときは先ず、練習したい課題(字の大きさ)に合った筆を選びます。

 最初に漢字用(半紙サイズ)の筆を選ぶ場合は1.000円~2.000円位の4号~5号の硬め(兼毫筆)の中鋒筆を選ぶと良いと思います。筆のおろし方にもよりますが、4号だと太いと思う方もいれば、5号だと細いと思う方もいると思います。

 筆には捌き筆と固め筆(フノリで固めてあるもの)があります。固め筆は全ておろす方もいますが、初めのうちは3分の2程度おろして使用すると良いと思います。初心者の方で一画書くたびに墨を付ける方がいますが、漢字を4~6字を書く場合は最初に墨を付けたら2文字書くように心掛けて下さい。

  かな用等の小筆は3分の1~半分程度おろして使用すると良いと思います。小筆は比較的消耗しやすいので、1本ずつ使いきるのではなく、筆を2本以上用意して交互に使うと筆が長持ちします。小筆で書いていると少しずつ筆に付けた墨が濃くなっていきます。そのときは水で薄めるか、洗って筆を交換すると良いと思います。そのまま使い続けると筆を傷めてしまいますし、洗うときに大変です。

  小筆の場合、毛先が割れたり、墨が続かなくなってくると筆の交換時期になります。その際に毛先を触ったり、揉みほぐしたりすると、毛先が切れてしまいますので注意してください。

  慣れてきたらいろんな筆を使ってみましょう。例えば一本の筆で10枚書くよりも違う筆で5枚ずつ書いてみて下さい。筆が違えば書き易さや仕上がりの違いが分かると思います。羊毛筆(柔毫筆)は柔らかいので初めは使いにくいかもしれませんが、1本は用意しておくと良いでしょう。

 筆は手入れをしましょう。小学校のときに筆の毛先が割れてしまった記憶があるかと思います。それから言うと筆は消耗品になってしまいますが、普段の手入れ次第では長く使うことができます。少し高価な筆になると何年も使えます。洗わない方もいると思いますが、使用後は毛を傷つけないように水洗いすることをお勧めします。かな用の小筆を洗う場合は、水道で直接洗わないほうがいいでしょう。硯をきれいにした後に、硯に水を数滴落とします。その水を筆に付けて筆に付いている墨を薄くしていきます。使用後の半紙を使うと良いでしょう。何度か繰り返せば完了です。

半紙

 半紙にもさまざまな種類があります。まず手漉きと機械漉きの半紙がありますが、機械漉きより手漉きのほうが高価となります。なるべく手漉きのものを使うようにしましょう。

  最近は半紙も値上がりしました。漢字用の半紙は100枚入りであれば300円位~数千円のものがあります。課題によって使う半紙が違いますので課題に合った半紙を選ぶようにしましょう。半紙の特徴の一つに滲みがあります。当教室では楷書から練習しますので、最初はあまり滲まない半紙を選ぶと良いと思います。まずは練習用(安価なもの)と清書(出品)用の2種類用意しましょう。(最初は1.000円以下の半紙で十分です。)

 たくさんの種類のものが市販されていますので、いろんな半紙に書くことをお勧めします。同じ筆と墨で数種類の半紙に書いてみると、墨色や滲みやかすれなどの違いが分かって面白いと思います。始めたころに書きにくいと思った半紙でも、上達して1年後、2年後に書くと書き易いと思うこともあります。

  条幅を書くようになると半紙ではなく小画仙紙(半切)を使います。半切は半紙に比べて少し高価になり、1枚単価30円~100円超くらいします。展覧会等に出品する際は少し高価な紙を使うべきと思いますが、普段は安価な紙で良いと思います。練習用と清書用の2種類以上を用意すると良いと思います。条幅を書き始めたらいろんな紙に書きたくなると思います。通常は100枚入り(一反)で販売されています。書道を始めたらいつかは条幅にチャレンジして下さい。

墨 (墨液)

 墨は固形墨を磨って使用することが理想ですが、初めは市販さてれいる墨液を使用しても構いません。使用後に筆を水洗いすることが必要です。

  慣れてきたら少しずつ固形墨を使用するようにしましょう。かな用の墨は一丁型(100円ライターくらいの大きさ)ぐらいの墨だと1,000円~数千円位で市販されています。 まずはかな等の比較的墨量を必要としないものから始めるのが良いと思います。かなの場合、硯(丘)に水(湯)を2~3滴落として墨を磨ります。少量であれば2~3分程度で磨ることができますのでそれほど大変ではないと思います。磨った墨も当然乾燥しますので、一度に大量の墨を磨るのではなく、4~5枚程度書く量の墨を磨るように心がけて下さい。

  使い終わった墨はきれいに拭きとって桐箱に入れて保管すると良いでしょう。

 市販の墨には製造された年が記載されていると思います。一般的な墨はおそらく製造後2~3年くらいの物が多いと思います。墨を購入する際は、より古いものを選ぶと良いでしょう。余裕があれば墨を購入してすぐに使用するのではなく、一年後、二年後に使用するのも良いと思います。

 硯は筆墨硯紙の中でも最後に購入される方も多いと思いますが、墨液を使用しているうちは小学校のときに使用していた硯やプラスチック製の安価な墨池でも構いません。

 他にも違いはありますが、まず漢字などの大きい作品を書く場合には、大きめの筆や墨を使用しますので、使う筆や墨が硯に入らなければ話になりません。筆の大きさに対して使う硯が小さかったら、硯などを汚してしまいます。逆にかなを書く場合にはそれほど大きい硯は必要ないですよね。

  墨を磨るようになったり、条幅を書くようになると硯は欲しいものです。安い硯は1,000円くらいでありますが、良い硯になると何万円と高価です。漢字用とかな用の硯を二つ用意したいところですが、「大は小を兼ねる」と言いますし、最初にかな用の硯を買うと漢字を書くときに不便ですので、初めて購入する際は少し大きめで洗い易い硯を選ぶと良いと思います。硯は何年も使えるのであまり安価なものは避けましょう。少し高価な硯を購入して大切に使って下さい。

  あと、使用後は硯も洗わなければなりません。